お客さまコメント:プラント系システム開発企業

プラント系システム開発企業

プラント系システム企業に在籍されているA様にインタビューをし、ベトナムでなぜオフショア開発を開始したのか、そして、実行した後に感じたことなどについてご回答いただきました。

ベトナムの現地企業とオフショア開発をはじめたきっかけは何ですか

2005年初頭、元々オフショア開発で存在が目立っていた中国やインドも考えたのですが、その頃、一部で注目され始めたベトナムでのオフショア開発を検討し始めました。当時は制御系ソフトウェア開発技術者の不足により、お客様から案件は頂けるのですが、対応ができずお断りすることが少なくない状況にあり、エンジニア確保に関する課題解決、及びグローバル市場への対応策の構築に向けての準備という背景がありました。
当社の業務は、設計・開発から保守まで長期間にわたるものがメインであり、オフショア開発も実施するからには長期的に取り組んで行こうという意気込みで開始しました。

オフショア開発をベトナムでやろうと思った理由は何でしょうか

当時、中国やインドはオフショア開発ではすでに存在感もい大きく、かつ実績のある企業も多く、インドは技術が高い分コストも高い、中国は人が頻繁に入れかわり流動性が高いなど、それぞれのリスクについての情報は色々と収集しておりました。
 当時はまだベトナムでのオフショア開発は一部の企業を除いてあまり騒がれておりませんでしたが、ベトナムは相対的に開発コストも安く、何よりも親日的な国民性だということで、直感的にまずはやってみようというチャレンジに近いものでした。

実際ベトナムに渡航して、驚いたことはありますしたか

皆さん初めてベトナムに到着した時、必ずおっしゃることですが、とにかくバイクが多く、クラクションを故障するんじゃないかと思うぐらい、頻繁に鳴らすことなどに驚きましたね。それと、10代や20代の若者が多く、日本人に似ている。街の雰囲気も昭和40年代の日本というイメージでしょうか、その頃の日本の良かった面を持っていると感じました。

ベトナムに行かれた印象はどうでしたか

まずベトナムというとベトナム戦争を思い出します。私が学生時代には戦争をやっていた、社会主義国家だ、という認識をしていました。ところがベトナムに実際に行ってみてベトナムの方と会ってみると、日本人とあまり変わらないなぁと思いました。実際はおしゃべりが好きだったりおせっかいだったり。それと必ずお礼をするなど律儀な所も日本人に似ていると感じました。
実際仕事をしてみると、計画や実行に変更があったときには、何故そういう結果になったかとか、理由を伝えてくれない事がありました。 つまり結果が分かればプロセスを省いても良いということなんですね。でも逆に報告は当然大事なのですが、私は途中経過や理由についつい、こだわりすぎていたところもあるなと気付かされました。 ベトナム人のそういった部分は、長く付き合っているうちに、欠点ではなく個性だなと思うようになりました。 人によって違うのはどこの国の人でも同じですよね。
ベトナムの女性は、遠慮することを知っていて昔の日本の女性にかなり近いですね。ビジネスマンとしての印象でも、女性は優秀な方が多いと感じています。ベトナム社会では、女性がきちんと地位を確立できているし、ベトナムには女性が自立できる仕組みを持っています。日本でベトナムの女性が勤務していただいたら、女性の地位向上の面でも、今の日本企業に働いている日本人女性影響を与えることに繋がると思いますよ。

ベトナム企業と仕事をしてみて思ったことは

ベトナムの人から学ぶことも結構ありました。勤勉さだとか、ビジネスに対して純粋な気持ちを持っているということと、ISOなどの品質規格を取得しようとするプロジェクトを立ち上げたり、CMMの成熟度に合わせて組織構成を改善したり、改良したりしていることです。
日本は社長、部長、課長がいて、という典型的な縦割り形式であるため、プロジェクト単位での組織構成はなかなか難しいのです。結果日本では担当者に業務が集中し、なんでもかんでもやらざるを得ない。そうすると企画を立案しても、計画通りに実行できない事がよくあるんですよね。
ベトナムではCMMへの取り組みなどを積極的に取り入れていることが、非常に羨ましかったです。彼らはコスト優位性も持ち合わせているので、実現できるのだと感じました。ベトナムでオフショア開発を実際やってみて、私は日本での開発も彼らと同じようにやらなければいけないと強く感じました。一人では難しいですが、 そういう事を目指していく技術者が増えていけば、現状を少しでも改善することができるんじゃないかと。

オフショア開発を行って失敗したと感じたことはありますか

慣れていないということもありましたが、日本語で説明したものが伝わっていないということがありました。
『わかった』という返事は、ベトナム人にとっては「言っている意味が『わかった』ということなんですね。結局言った内容に対して「同意しているのかどうか」「認識できているのかどうか」の確認が足りなかったんです。日本語は結構あいまいな表現ですし、はっきりとなかなか言うことが苦手な人が多いのですが、はっきりと「何々してください」と言わないと駄目です。
特に日本語が話せるベトナム人の場合、日本語が話せるからその意味まで通じているだろうと勘違いしがちですが、そこにはやはり「文化の違い」「慣習の違い」があるので理解度が異なる訳です。オフショア開発ではよく「コミュニケーション上の課題」が取り上げられるのは当然ですが、それだけではなく「文化・慣習の違い」ということを理解するのが重要ですね。
 

では逆に成功したと感じた点は

当初予定していたよりも、早くコストメリットが出たという点です。最初はメリットが出るまで、3年ぐらいはかかるだろうと思って、計画を実行していたのですが、約1年で成果が出ました。もちろんベトナム側のパートナー企業も、かなり努力していただいたので、そのおかげだと思っています。またアストミルコープのサポートもありました。最初は当然ベトナムとは何の関係もないので、いろいろな点で、アストミルコープにはサポートしていただきました。自分たちでやることはまず、難しいですね。できたとしても必ず失敗していたと思います。ベトナムでオフショア開発を始めるには、やはり第三者のサポートが必要だと思います。

ベトナム企業では難しいこととかはありますか

ベトナムの大卒技術者は、実務経験を積んでいると勝手に思っていましたが、実際は日本の大卒技術者とはあまり大差はないと感じました。
また、社会主義という政治環境の影響もあるかもしれませんが、自分で課題を見つけ、それを自分で解決していくことはまだまだ難しいと感じています。日本を始め、外資系企業と取引をしている企業に勤めている技術者は対応できるようになっていますが、基本的には分からないことは調べる前に何でも聞いてきますね。業務報告については、例えば日本では「何々をやって、どういう問題が発生し、開発が遅れ気味」だとか、「今は何をやっていて、進捗はどんな状況なのか」など、数字で表現できない部分も含めて報告しますが、ベトナムではそれがありません。結果がこうなったのだから、中間報告、つまりはレビューはいらないでしょうという考えなのです。

ベトナム企業とのオフショア開発のメリットやデメリットは何でしょうか

注意するべき点としては、ベトナムの正月(テト:旧正月)時期に作業負荷を増やすのは止めたほうがいいですね。年に寄って異なりますが、1月から2月に、1~2週間ほど稼働が無くなります。ただ逆に考えれば、日本のゴールデンウィークや年末年始など、日本が稼働していない時に仕事を出すことが可能です。ただベトナムでは労働法の関係で、残業時間が厳しく規定されているため、日本人みたいにサービス残業はしてくれません。でも「今は非常に大事な時期なので」とお願いしたらやってくれたこともありましたよ。
また、日本側が何で困っているのかを結構気にしてくれて、対応を変えてくれたりします。今では付き合いも長く、お互いの感覚が理解できているので、ベトナム側から入りこんで、日本側の要求を積極的にこなしてくれるようになってきました。ただ本音をいうとそっちよりも設計等の上流工程にも、もっと積極的に着手してもらえると助かります。

これからベトナムでオフショア開発を考えている方々へアドバイスをお願いいたします。

日本の会社ではアウトソーシングする際に、相手を見下したり、仕事をあげている、という感覚の人が少なくないですね。オフショア開発を行う上では、あくまで双方が対等な関係であるという意識が必要です。ですから、こちらからもサポートすることは当然ですし、それがないとうまくやれない、というかサポートをしないと失敗する確率は高くなります。また、ベトナム企業と長く付き合っていくためにも、仕事があるときだけやる「単発プロジェクト」ではなく、ある程度一定の仕事を出し続ける「継続的なプロジェクト」を提供することも大事です。
それから相手の気持ちを考えることも重要です。グローバルな視点を持って、言葉よりも気持ちを理解した上で、相手に対してこう思いますとの意見やアドバイスを述べることです。100%思い通りにはなりませんので、お互いの計画とゴールを共有して、「一緒に成長していく」という姿勢がないといけないと思います。

何故そのような考えが生まれたのですか。

弊社は「イノベーション」を遂行するという社風、素地があったから失敗しなかったのだと思います。
ベトナムのオフショア開発を始めたことで、単なるコストメリットだけではなく、会社の風土もグローバルに向いてきたと感じています。

アストミルコープを活用するメリットは何でしょうか

代表の武田さんに言えば必ず何かに繋げてもらえる、課題解決の糸口を見つけてくれる、このベトナムでのネットワークの広さが最大のメリットでしょう。コミュニケーション上のサポートやトラブルへの対処法など、様々なサポートを行ってもらいました。活用する際は、サービスの内容がぶれないように会社の事情や目標、課題等をしっかりと伝えることがポイントです。
とにかくベトナムのことで何かあれば、相談すれば大丈夫です。

今後アストミルコープに期待することはありますか

ベトナムで開発以外で新しいビジネスをやりたいですね。オフショア開発以外でのベトナムとの接点、ビジネスが近い将来に実現できればと思っています。