円安、ビザ緩和等の影響もあり、2013年度の日本への外国人観光客は1000万人を突破しました。さらに2020年の東京オリンピックの開催が決定したこともあり、日本国内での観光産業での外国人観光客の受入れ(インバウンド)に関する意識が非常に高まっています。

 

 また外国人観光客の訪問先も、東京や大阪等の大都市圏だけではなく、北海道や信州、九州と多様化しており、日本人が旅行する温泉街やリゾート地でも外国人観光客を見かける事が増えています。

 

 ただ一方で、温泉街やリゾート地では、都市部への人口流入に伴い、過疎化が進み、特に若年層の労働者が減少しているため、雇用確保が非常に大きな社会問題となっています。

 

 ある有名な温泉街(旅館数:約60件)での雇用調査データでは、現在雇用されている従業員の年齢別調査結果が、50歳代、60歳代、70歳代の従業員数の合計比率が56%と、過半数を占めており、高齢者労働力を経営資源としてフル活用しなければならないという現実があります。

 

 また高齢故に、外国人観光客への英語等、外国語を活用したコミュニケーションにも苦慮するという状況であるため、政府の外国人観光客誘致活動が加速する一方で、日本の有数の温泉街やリゾート地は、安定的な雇用確保、外国人観光客への外国語対応等、ホテル・旅館等の経営課題が解決できない現状があります。

 

 このような背景を元に、この温泉街やリゾート地での課題解決の一つとして、ベトナム籍の方々に日本のホテル・旅館での勤務に関して、どのような印象を持っているかを、日本語学科のある大学の学長や学部長、学科長、日本語履修者に対し、弊社独自で調査をしてきましたが、想像以上に意外な結果がでました。

 

(1)日本語を最大限活用できる安心な職場

 

 大学教員へのインタビューでは、在ベトナムの日本企業への就職が最も望むべき進路と考えているようでしたが、学生に直接インタビューをすると「日本の伝統文化に触れられる」「日本人スタッフだけでなく、お客様とも日本語で話せる」「都会ではないので安心」等、日本語を最大限活用できる安心な職場という好意的な印象を持っていることが分かりました。

 

(2)不安要素は日本の「住居費」の高さ

 

 日本は物価が高く、住居費が高いというイメージが非常に強く、日本での生活面に関する質問においては、「住居費」と「食費」に関する割合が大半で、この2つの不安材料を解消できるかどうかが、就職意向度を決定するという結果でした。

 

 生活するために必要な「食・住」の費用を知る事で、逆に安心して日本で勤務できる事を知ると、都市部のホテルよりも、相対的に「食費」と「住居費」が安価で済む温泉街・リゾート地では就職意向度が逆にアップするという傾向がありました。

 

(3)勤務地は問わない

 

 昨今は都心部での勤務を希望する日本の方が相対的にまだ多いですが、彼らベトナム籍の方々にとっては、勤務地の条件はあまり関係がないようです。

 

 強いていえば、原発事故の影響が残っている福島県は、親の反対にあう可能性が高いということで、「福島以外」を希望する学生が散見されました。ただこれは、時間とともに解消されると思われ、日本であれば勤務地は問わないと見なしても問題無いと思われます。

 

(4)長期勤務希望者が多い

 

 旅館・ホテルの仕事を紹介した後、日本での勤務希望期間を確認すると、大半が3年以上の長期勤務を希望しています。最初の1年間は働きながら日本語能力を上げ、接客技術や日本のおもてなし文化を理解する。

 

2年目以降は、接客はもちろん、外国人観光客の受入対応や、海外の観光業への営業活動等で職場貢献をし、最終的にはここのところ増え続けているベトナム人旅行者を迎えられるようなプロフェッショナルになることを、キャリアステップとして考えている方が多かったです。 以上、前述の中で、特に弊社としては、(1)の日本語を最大限活用できる安心な職場という印象が意外な結果で驚きました。このようなベトナムの方々に、日本での勤務の機会を与えられるようになれればと思っています。